| 日 程 | 講 師 | 講義テーマ | |
| 1 | 2026年10月12日 | 松木 邦裕 先生 | 無意識 |
| 2 | 10月25日 | 館 直彦 先生 | 性愛と身体 |
| 3 | 11月29日 | 吾妻 壮 先生 | 自己と対象関係 |
| 4 | 2027年1月24日 | 増尾 徳行 先生 | 反芻することと物語ること |
| 5 | 2月21日 | 妙木 浩之 先生 | 自我心理学 |
| 6 | 3月28日 | 小泉 規実男 先生 | クライン派 |
| 7 | 4月25日 | 立木 康介 先生 | ラカン派 |
| 8 | 5月23日 | 館 直彦 先生 増尾 徳行 先生 |
対象関係論(独立学派)―ディスカッション― |
| 9 | 6月27日 | 清野 百合 先生 | ビオン派 |
| 10 | 7月25日 | 横井 公一 先生 | 対人関係論/関係学派―フィールドと相互作用の精神分析― |
| 第1回『無意識』松木 邦裕 先生 |
| ラプランシュとポンタリスの『精神分析用語辞典』(1967/1976)には、次の文があります。「フロイトの発見を一つの言葉であらわさねばならぬとしたら、それは異論の余地なく「無意識」という言葉であろう」。 フロイト自身、私たちが普段に見る夢から無意識への通路を見出したのでした。そして、精神分析とは「病者において抑圧されている心的現象を意識にもたらす作業」と定義しました(Freud. 1919)。お分かりのように、こころの無意識に存在しているものを意識化する作業が、精神分析という方法なのです。精神分析の各学派は、無意識をどのように理解してアプローチするかという課題から生まれました。 この講義ではフロイトの無意識論から現代の無意識論を紹介します。 【参考図書】 ・フロイト 精神分析入門 上下 新潮文庫、中公文庫、角川ソフィア文庫 ・フロイト 精神分析入門講義 岩波文庫 (以上はフロイトの同一著書の翻訳書ですが、翻訳者が異なります) |
| 第2回『性愛と身体』館 直彦 先生 |
| Freudが精神分析を着想したとき、彼の頭の中はセックスのことでいっぱいだったはずで、精神分析理論はセックスを一つの軸として構成された。しかし、Freud以降、精神分析はセックスを忘れ去ってしまったようにも見える。女性は暗黒大陸に準えられもした。身体についても、自己は身体に根差す(身体―自己)と考えられてはいるが、一部の論者(Winnicott、Laplanche、McDougallなど)のものを除くと、身体について系統的に論じている精神分析文献は少ない。性愛も身体も精神分析の辺縁に位置付けられていると言えるかもしれない。このテーマに関しては、むしろ芸術家の方がセンシティヴかもしれない。そこで、今回は映画や絵画からのアプローチを取り入れて、セックスと身体についての連想を賦活していきたい。 【参考図書】 ・Freudの『性欲論三篇』『ナルシシズム導入のために』『精神分析入門講義』『不気味なもの』など ・Winnicott『人間の本性』 ・McDougall: Theater of the Body ・映画 Fennell, E監督『嵐が丘』(2026年公開)、Zhao,C監督『ハムネット』(2026年公開)、Hauser, K『僕はベーコン』(パイ インターナショナル) ・その他、Francis Baconの画集 |
| 第3回『自己と対象関係』吾妻 壮 先生 |
| 精神分析は、自分自身をどのように理解するのかという問いと、自分以外の存在にどのように関わるのか、という二つの問いを軸として発展してきました。それは言い換えれば、精神分析は自己と対象について問い続けてきたということです。本講義では、自己とは何か、対象とは何か、ということについて理解し、その上でそれらの理解にもとづく臨床実践について考えます。 【参考図書】 ・吾妻壮 著 実践詳解精神分析16講上、下(2023年、2024年) 岩崎学術出版社 |
| 第4回『反芻することと物語ること』増尾 徳行 先生 |
| 反芻することと物語ること Freudは、臨床実践のなかで記憶の問題に悩まされました。当初彼は、抑圧された記憶の想起に治療機序を見出しました。やがて行為として繰り返される形式の記憶に取り組みました。そして分析家が患者の記憶を構成する面に着眼します。現代的に見てその仕事の価値は、記憶の再現以上に患者の無意識に及ぶ影響にあります。分析においては、構成と自由連想が織りなされます。そうして語ることのうちに、自己が編まれていくのです。 【参考図書】 ・フロイト,S. 1914 想起すること,反復すること,ワークスルーすること.藤山(編・監 訳)2014 フロイト技法論集.岩崎学術出版社. ・ウィニコット,D.W. 1962 精神分析治療の目標.大矢(訳)2022 成熟過程と促進的環 境.岩崎学術出版社. |
| 第5回『自我心理学』妙木 浩之 先生 |
| 自我心理学は、フロイトが1930年代に考えたメタ心理学を中心に発展してきました。ステルバ、グリーンソン、アローとブレナー、ポール・グレイ、そして米国の精神分析家たちの仕事をできる限りお伝えできれば、と思います。それらを前提にして、彼ら現代の自我心理学者は、英国の対象関係論者たちの投影同一化の臨床などを積極的に取り入れて、自我心理学を発展させてきました。臨床的に重要な点をお伝えできれば、と思います。 【参考図書】 ・フレッド・ブッシュ『精神分析マインドの創造』金剛出版 |
| 第6回『クライン派』小泉 規実男 先生 |
| フロイトが発見した精神分析を、現代の精神分析へと大きく発展させる礎となったのはメラニー・クラインである。彼女は児童分析の先駆者であるだけでなく、その実践と研究を元に無意識的幻想、内的対象関係、抑うつ態勢などの概念形成の基盤を築いた。ハイマン、スィーガル、ローゼンフェルト、ビオン、メルツァーらクライン派後継者による業績は、現代の精神分析の発展に多大な影響を与えている。その経緯について概説したい。 【参考図書】 ・『児童の精神分析』メラニー・クライン著、小此木啓吾他監、誠信書房1997 ・『羨望と感謝』メラニー・クライン著、小此木啓吾他監、誠心書房1996 ・『メラニー・クライン入門』ハンナ・シーガル著、岩崎徹也訳、岩崎学術出版社1977 ・『メラニー・クライン・トゥデイ』①②③E・Bスピリウス編、岩崎学術出版社2000 ・『リーディング・クライン』マーガレット・ラスティン&マイケル・ラスティン著、松木邦裕他監訳、金剛出版2021 |
| 第7回『ラカン派』立木 康介 先生 |
| 精神分析には脳科学におけるがごときマテリアルな支えがない、とする意見がある。なるほど、フロイトの学説は、脳内の物理化学的過程や、生物学的・生理学的根拠によって裏づけることはできない。だが、フロイト理論には、それとは別の確固たるマテリアルな支えが存在する。言語(的なもの)とその構造である。ジャック・ラカンが1950年代に標榜した「フロイトへの回帰」は、こうした観点から精神分析の理論と実践を全面的に再定式化する試みだった。ただし、この試みは、当の構造(シニフィアンの構造、象徴界)そのものを問い直す方向に進み、やがてその彼岸たる「現実界」を志向するようになる。このようなラカンの歩みは、今日にまで至るラカン派の精神分析において、個々の臨床例で脈々と反復されてきたのではないだろうか。現代ラカン派のグローバルな展開のなかで考えたい。 【参考図書】 特になし |
| 第8回『対象関係論(独立学派)―ディスカッション―』館 直彦 先生,増尾 徳行 先生 |
| 「対象関係」という考え方自体はFreudにもあったが、それを内的世界における対象関係が重要であると強調したのがKleinである。対象関係論は、欲望(欲動)よりも対象との関係が重要であると、自然な指摘をしたに過ぎない。それがひとつの理論的な立場となったのは、英国協会でAnna Freud一派とKlien一派の間で「大論争」が起こったときに、どちらに与するのもよしとしない人たちが集まり、その足場を確保しようと動き出したことによる。それならば、対象関係論の分析家たちに共通する理論や臨床などあるのだろうか。そのことを二人の論者をめぐる対話、という対象関係の実相をとおして明らかにしていきたい。 【参考図書】 ・Kohon, G(Ed):British Psychoanalysis: New Perspectives in the Independent Tradition. Karnac, 2017 ・Bollas, C. :終わりのない質問(館直彦訳)(2011) |
| 第9回『ビオン派』清野 百合 先生 |
| Bion, R.W.の理論は、初期の集団に関する理論から精神病の理解、思考の生成と発達をめぐる議論を経て1960年代半ばに大きく変化し、それ以降は絶対的真実(O)という概念や「記憶なく欲望なく」という治療者の態度を提唱するようになります。そして1970年代には理論から離れていきます。本講義ではこうしたビオンの思索の変遷を辿るとともに、ビオンの理論をさらに展開し発展させた後継者たちについても紹介したいと思います。 【参考図書】 ・ビオンW.R.著『精神分析の方法Ⅰ』福本修訳 法政大学出版局 ・ビオンW.R.著『精神分析の方法Ⅱ』福本修・平井正三訳 法政大学出版局 ・ヴェルモートR.著『リーディング・ビオン』松木邦裕監訳・清野百合訳 金剛出版 |
| 第10回『対人関係論/関係学派―フィールドと相互作用の精神分析―』横井 公一 先生 |
| 「対人関係/関係学派」の起源は1940年代の米国に出現したサリヴァン, H. S.の対人関係精神医学に始まる。それはフロム, Eの人間学的精神分析などと融合し、対人関係精神分析として形を成した。1980年代に入るとそれは、対象関係論、フェミニズム精神分析などの感性を統合した関係精神分析(ミッチェル, S. A.)として結実し、今世紀に入ると対人関係/関係精神分析として、現在の米国の精神分析の大きな潮流となっている。本講義ではこの学派の理論と実践を概観してみたい。 【参考図書】 ・H. S. サリヴァン:「精神医学は対人関係論である」 中井久夫ら訳 みすず書房 1990年 ・S. A. ミッチェル:「関係精神分析の技法論」横井公一・辻河昌登監訳 金剛出版 2023年 |
| 吾妻 壮 先生 | 上智大学 |
| 小泉 規実男 先生 | 小泉心理相談室 |
| 清野 百合 先生 | さくら精神分析研究室 |
| 館 直彦 先生 | たちメンタルクリニック |
| 立木 康介 先生 | 京都大学 |
| 増尾 徳行 先生 | 個人開業 |
| 松木 邦裕 先生 | 日本精神分析協会/個人分析オフィス |
| 妙木 浩之 先生 | 東京国際大学 |
| 横井 公一 先生 | 微風会 浜寺病院 |
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