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2025年度 第28期セミナー【系統講義】ご案内

 
 当セミナーでは4年を1クールとしてプログラムを組み立てています。2025年度は、その1年目に当たります。新たなクールのスタートとして、「フロイトから始まる精神分析」との年間テーマを掲げ、精神分析の創始者であるフロイトの文献をじっくりと学んでいきます。初学者の方にはフロイトの文献に初めて触れる機会として、長年精神分析を学んでおられる方には改めてフロイトに立ち戻る機会として、それぞれ役立つと思いますので、是非ご参加をご検討ください。
 なお4年で1クールとなっていますが、単年でのご参加も受け付けております。また、本年に引き続いてオンラインで講義を実施いたします。

年間テーマ:「フロイトから始まる精神分析」


プログラム

日 程 講 師 講義テーマ
1 2025年9月28日 松木 邦裕 先生 なぜ、精神分析を学ぶのか
2 10月26日 館 直彦 先生 フロイトの精神分析総論
3 11月23日 北村 隆人 先生 「夢分析」と無意識
4 2026年2月1日 平井 正三 先生 「ヒステリー研究」「ドラ」「ハンス」神経症とエディプス・コンプレックス
5 2月22日 増尾 徳行 先生 「ナルシシズム導入のために」「喪とメランコリー」ナルシシズムと対象関係論
6 3月22日 池田 暁史 先生 メタサイコロジー論「無意識」から「自我とエス」へ
7 4月19日 清野 百合 先生 症例を通しての理論展開「ねずみ男」「シュレーバー」「狼男」
8 5月24日 十川 幸司 先生 セクシュアリティ論の展開 エディプスから「不気味なもの」「マゾヒズムの経済論」などへ
9 6月28日 横井 公一 先生 晩年の理論:「否定」「自我の分裂」など
10 7月26日 高野 晶 先生 フロイトの技法論


各講義概要・参考図書

第1回『なぜ、精神分析を学ぶのか』松木 邦裕 先生
フロイトは精神分析について「病者において抑圧されている心的な現象を意識にもたらす作業」(1919)と言いました。ビオン(1977)は、クラインの発言「精神分析は意味のない用語です。でも、それは役に立つのです」を取り上げています。それが精神分析です。そして精神分析を学ぶ意義はそこにあります。
【参考図書】
・ケースメント, P.(2006):人生から学ぶ.山田信訳(2009)岩崎学術出版社

第2回『フロイトの精神分析総論』館 直彦 先生
あらゆる精神分析的思考の基礎にフロイト理論があるが、それは必ずしも分かりやすいものではない。その理由は、彼の自然科学的アプローチと解釈学的アプローチが併存しているために、様々な矛盾を内包しているためであるが、この矛盾が精神分析を展開させる原動力ともなっている。この講義では、フロイトの生涯について触れるとともに、メタ心理学と症例研究を軸として、フロイトの精神分析の全体像を素描し、今年度のセミナーの理解を深める一助としたい。
【参考図書】
・Perelberg, RJ (Ed)(2005):Freud:A Modern Reader. Whurr Publishers
・さまざまな著者:フロイトの伝記

第3回『「夢分析」と無意識』北村 隆人 先生
フロイトの夢分析は、その後の精神分析の理論的・臨床的発展の源の一つとなったが、同時に彼の夢理解は規範的な力を帯び、その後の分析家の思考を制約することにもなった。フロイトを学びながらクライエントの夢を聴こうとすると、私たちもまた無自覚のうちに、この規範性の軛に絡め取られてしまう。今回の講義では、そこから少しでも自由になるために、歴史的な視点を補助線を当てながらフロイトの夢分析の特徴と限界を共有し、現代的な臨床において夢をどう扱えばよいかについて考えたい。
【参考図書】
・フロイト:夢解釈
・北村隆人著:共感と精神分析 第2~4章.みすず書房

第4回『「ヒステリー研究」「ドラ」「ハンス」神経症とエディプス・コンプレックス』平井 正三 先生
フロイトが神経症概念を作り上げていき、その中核的問題としてエディプス・コンプレックスを据えていくことで、20世紀の文化において決定的に重要な働きをした精神分析の基礎となった。しかし、その後、この神経症概念で捉えられる心の問題はどんどん減少し、またエディプス理論の限界と欠陥も明らかになっていった。本講義では、これらを踏まえて、初期のフロイトの仕事の限界と可能性を考えていきたい。
【参考図書】
・フロイト:ヒステリー研究
・フロイト:あるヒステリー分析の断片『全集6』
・フロイト:ある5歳男児の恐怖症の分析『全集10』
        
第5回『「ナルシシズム導入のために」「喪とメランコリー」ナルシシズムと対象関係論』増尾 徳行 先生
Freudは欲動論に基づく精神分析を創出し,精神性的発達論を練り上げる過程で,ナルシシズム概念を導入しました。これにより,彼は自らメタサイコロジーを作り替える必要性に迫られます。彼はこの危機を通じて,精神分析の射程を神経症から統合失調症,パラノイア,メランコリーへ広げ,さらに器質的精神障害,心気症,性倒錯までを視野に収めようとしました。そのうえ彼は気づかぬうちに,対象関係論を芽吹かせたのです。
【参考図書】
・Freud, S.(1911/2010):ナルシシズムの導入にむけて.岩波書店
・Freud, S.(1917/2018):喪とメランコリー.講談社学術文庫
        
第6回『メタサイコロジー論「無意識」から「自我とエス」へ』池田 暁史 先生
メタサイコロジー論とは、1915年の「欲動と欲動の運命」から1917年の「喪とメランコリ―」までの(現存するものとしては)5本の論考を指す。ここでフロイトは、人の心的構造とその機能を一般的に概念化することを目指した。それは同時に第一局所論(無意識・前意識・意識)から第二局所論(構造論:エス・自我・超自我)に至るフロイトの思索の道筋でもある。難解で知られるこれらの諸概念を少しでもアプローチャブルに語ってみたい。
【参考図書】
・フロイト (2018):メタサイコロジー論.(十川幸司訳)講談社学術文庫
・キノドス(2013):フロイトを読む.(福本修監訳)岩崎学術出版社
        
第7回『症例を通しての理論展開「ねずみ男」「シュレーバー」「狼男」』清野 百合 先生
Freud, S.の精神分析理論は、常に臨床素材を吟味することを通して発展してきました。本講義では彼の代表的な臨床論文である「ねずみ男」「シュレーバー症例」「狼男」を紹介し、彼がどのようにそれぞれの症例を理解したのか、そしてその理解を踏まえてどのように理論を展開していったのかを、紐解いていきたいと思います。
【参考図書】
・キノドス(2004):フロイトを読む.(2013, 福本修監訳), 岩崎学術出版社
・フロイト, S(1909):強迫神経症の一例についての見解
・フロイト, S(1911):自伝的に叙述されたパラノイアの一症例に関する精神分析的考察
・フロイト, S(1918):ある幼児期神経症の病歴より
        
第8回『セクシュアリティ論の展開 エディプスから「不気味なもの」「マゾヒズムの経済論」などへ』十川 幸司 先生
フロイト理論の根幹には常にセクシュアリティの問いがある。それは初期の『性理論三篇』から後期の「マゾヒズムの経済論的問題」まで一貫している。しかし、後期へと向かう過程でフロイトのセクシュアリティ論は生との関連ではなく、死と深く結びついたものとして把握されるようになる。この変化は理論レベルにとどまらず、彼の実践にも影響を及ぼしている。この講義ではフロイトのセクシュリティを巡る思考の展開について論じる。
【参考図書】
・フロイト(1996):自我論集.ちくま学芸文庫
・フロイト(1997):エロス論集.ちくま学芸文庫
・十川幸司(2019):フロイディアン・ステップ.みすず書房
        
第9回『晩年の理論:「否定」「自我の分裂」など』横井 公一 先生
晩年のフロイトは、上顎癌の悪化やナチスドイツの侵攻、そしてロンドンへの亡命と迫り来る死の予感のなかで、これまでの精神分析理論では解決のつかなかった問題に取り組み、あるものは解決の糸口を見出し、またあるものは行き詰まりのうちに断念せざるを得なかった。本講義では、フロイトの精神分析の限界点を示すとともに、フロイト以降の精神分析の道を開くことともなったこれらの論文の意義について考えてみたい。
【参考図書】
・フロイトの晩年の論文:「否定(1925)」「終わりある分析と終わりなき分析(1937)」「分析技法における構成の仕事(1937)」「防衛過程における自我の分裂(1938)」など
        
第10回『フロイトの技法論』高野 晶 先生
フロイトの技法論に関しては、ストレイチーがまとめた6編が知られている。そのうち、「精神分析を実践する医師への勧め」に始まる4編の「勧め」シリーズは、具体的な方法にも言及したものとして、私たちはしばしば参照する。一方、100年以上後の世界を生きる私たちは、その後の理論の変遷を知り、また、フロイトが実践した形とは異なる精神分析的精神療法を概ね行っている。私たちのいまの臨床実践に生きる技法のルーツを辿り、その継承や変容の意味を考えてみよう。
【参考図書】
・フロイト(2014):フロイト技法論集.(藤山直樹編・監訳)岩崎学術出版社
・北山修・髙野晶編著(2017):週1回サイコセラピー序説〜精神分析からの贈り物.創元社
・髙野晶・山崎孝明編著(2024):週1回精神分析的サイコセラピー〜実践から考える.遠見書房


講師ご紹介(五十音順)

池田 暁史 先生 大正大学
北村 隆人 先生 東洞院心理療法オフィス/太子道診療所精神神経科
清野 百合 先生 勝田クリニック/さくら精神分析研究室
高野 晶 先生 北参道こころの診療所
館 直彦 先生 たちメンタルクリニック
十川 幸司 先生 十川精神分析オフィス
平井 正三 先生 御池心理療法センター・NPO法人子どもの心理療法支援会
増尾 徳行 先生 ひょうごこころの医療センター
松木 邦裕 先生 日本精神分析協会/個人分析オフィス
横井 公一 先生 微風会 浜寺病院


注意事項


・受講時の撮影、録音は禁止しております。
・守秘義務を遵守できない方のご参加はお受けできませんのでご了承ください。
・受講中はイヤホンを使用してください。また、受講者が映るようビデオをオンにしてください。


お申込み詳細

対象
精神分析、精神分析的精神療法・心理療法に関心をお持ちの医師(精神科医、心療内科医、小児科医など)、心理職(臨床心理士、公認心理師)及び、心理臨床を学んでいる大学院生で守秘義務を遵守できる方
*本セミナーは、公益社団法人日本臨床心理士資格認定協会が定める臨床心理士資格の更新ポイント(定例型研修会、4ポイント)に申請されています。
開催期間
2025年9月28日(日)~2026年7月26日(日)      
開催時間
系統講義 10:00〜12:30
開催場所
オンライン      
定員
75名       
申込方法
お申し込みはこちら
申込期限
2025年8月末日

開催後も参加申込みを受け付けています。
但し、初回(9月)への参加は1週間前までにお申し込み下さい。
それ以降にもお申し込みいただけますが、事務手続き上、ご参加いただけるのは第2回目(10月)からとなります。
参加費
一般・学生 ¥35,000

年度途中からお申し込みいただく場合であっても、一年分の参加費を頂戴しております。ご了承ください。
納入方法
一括全納       
振込先
申し込み受付後に、メールにて振込先をお知らせ致します。



2025年度 第28期セミナー【症例検討】ご案内


 当セミナーでは理論と臨床の両方を学ぶことが重要だと考えています。コロナ禍には一時症例検討会の実施を見合わせましたが、検討を重ね、2024年度より少人数・対面での症例検討会を開催しております。運営委員が助言者およびファシリテーターを担当し、少人数で気兼ねなく意見を出し合う自由な雰囲気の中で、症例から多くを学んでいくことを目指しています。症例についても、構造化された精神分析的心理療法の症例に限定せず、より幅広いケースを対象としています。皆様どうぞふるってご参加ください。

日 程
1 2025年9月28日
2 10月26日
3 11月23日
4 2026年2月1日
5 2月22日
6 3月22日
7 4月19日
8 5月24日
9 6月28日
10 7月26日



注意事項


・運営委員が助言者およびファシリテーターを担当します。
・ご発表いただく回はこちらで割り振らせていただきます。ご都合の悪い月があれば事前にお知らせください。
・臨床心理士更新の要件に含まれる定例型研修会参加4ポイントを申請可能です。
・日本精神分析学会の学会認定研修グループ(症例・事例検討会)の条件は満たしませんのでご注意ください。


お申込み詳細

対象
精神分析、精神分析的精神療法・心理療法に関心をお持ちの医師(精神科医、心療内科医、小児科医など)、心理職(臨床心理士、公認心理師)及び、心理臨床を学んでいる大学院生で守秘義務を遵守できる方
開催期間
2025年9月28日(日)~2026年7月26日(日)      
開催時間
事例検討14:15~16:45
*開催時刻が2024年度とは異なりますのでご留意ください。
開催場所
エルおおさか(大阪市中央区)

*午前のセミナーにご参加の方は、オンラインで講義にご参加後、午後の会場にお越しください。午前は会場は解放していませんのでご留意ください。       
定員
10名(最少催行人員8名)

・症例を提示できる方に参加を限らせていただきます。
・症例は「構造化された精神分析的心理療法の症例」に限定しません。より多様な構造で実施している症例でも構いません。
例)隔週やそれ以下の頻度のケース、一回30分で実施しているケース、親子並行面接の親面接など       
申込方法
お申し込みはこちら
申込期限
2025年8月10日まで
*午前のセミナーの申し込みよりも早く締め切ります。ご留意ください。
参加費
一般・学生 ¥35,000
納入方法
一括全納       
振込先
申し込み受付後に、メールにて振込先をお知らせ致します。



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