日 程 | 講 師 | 講義テーマ | |
1 | 2025年9月28日 | 松木 邦裕 先生 | なぜ、精神分析を学ぶのか |
2 | 10月26日 | 館 直彦 先生 | フロイトの精神分析総論 |
3 | 11月23日 | 北村 隆人 先生 | 「夢分析」と無意識 |
4 | 2026年2月1日 | 平井 正三 先生 | 「ヒステリー研究」「ドラ」「ハンス」神経症とエディプス・コンプレックス |
5 | 2月22日 | 増尾 徳行 先生 | 「ナルシシズム導入のために」「喪とメランコリー」ナルシシズムと対象関係論 |
6 | 3月22日 | 池田 暁史 先生 | メタサイコロジー論「無意識」から「自我とエス」へ |
7 | 4月19日 | 清野 百合 先生 | 症例を通しての理論展開「ねずみ男」「シュレーバー」「狼男」 |
8 | 5月24日 | 十川 幸司 先生 | セクシュアリティ論の展開 エディプスから「不気味なもの」「マゾヒズムの経済論」などへ |
9 | 6月28日 | 横井 公一 先生 | 晩年の理論:「否定」「自我の分裂」など |
10 | 7月26日 | 高野 晶 先生 | フロイトの技法論 |
第1回『なぜ、精神分析を学ぶのか』松木 邦裕 先生 |
フロイトは精神分析について「病者において抑圧されている心的な現象を意識にもたらす作業」(1919)と言いました。ビオン(1977)は、クラインの発言「精神分析は意味のない用語です。でも、それは役に立つのです」を取り上げています。それが精神分析です。そして精神分析を学ぶ意義はそこにあります。 【参考図書】 ・ケースメント, P.(2006):人生から学ぶ.山田信訳(2009)岩崎学術出版社 |
第2回『フロイトの精神分析総論』館 直彦 先生 |
あらゆる精神分析的思考の基礎にフロイト理論があるが、それは必ずしも分かりやすいものではない。その理由は、彼の自然科学的アプローチと解釈学的アプローチが併存しているために、様々な矛盾を内包しているためであるが、この矛盾が精神分析を展開させる原動力ともなっている。この講義では、フロイトの生涯について触れるとともに、メタ心理学と症例研究を軸として、フロイトの精神分析の全体像を素描し、今年度のセミナーの理解を深める一助としたい。 【参考図書】 ・Perelberg, RJ (Ed)(2005):Freud:A Modern Reader. Whurr Publishers ・さまざまな著者:フロイトの伝記 |
第3回『「夢分析」と無意識』北村 隆人 先生 |
フロイトの夢分析は、その後の精神分析の理論的・臨床的発展の源の一つとなったが、同時に彼の夢理解は規範的な力を帯び、その後の分析家の思考を制約することにもなった。フロイトを学びながらクライエントの夢を聴こうとすると、私たちもまた無自覚のうちに、この規範性の軛に絡め取られてしまう。今回の講義では、そこから少しでも自由になるために、歴史的な視点を補助線を当てながらフロイトの夢分析の特徴と限界を共有し、現代的な臨床において夢をどう扱えばよいかについて考えたい。 【参考図書】 ・フロイト:夢解釈 ・北村隆人著:共感と精神分析 第2~4章.みすず書房 |
第4回『「ヒステリー研究」「ドラ」「ハンス」神経症とエディプス・コンプレックス』平井 正三 先生 |
フロイトが神経症概念を作り上げていき、その中核的問題としてエディプス・コンプレックスを据えていくことで、20世紀の文化において決定的に重要な働きをした精神分析の基礎となった。しかし、その後、この神経症概念で捉えられる心の問題はどんどん減少し、またエディプス理論の限界と欠陥も明らかになっていった。本講義では、これらを踏まえて、初期のフロイトの仕事の限界と可能性を考えていきたい。 【参考図書】 ・フロイト:ヒステリー研究 ・フロイト:あるヒステリー分析の断片『全集6』 ・フロイト:ある5歳男児の恐怖症の分析『全集10』 |
第5回『「ナルシシズム導入のために」「喪とメランコリー」ナルシシズムと対象関係論』増尾 徳行 先生 |
Freudは欲動論に基づく精神分析を創出し,精神性的発達論を練り上げる過程で,ナルシシズム概念を導入しました。これにより,彼は自らメタサイコロジーを作り替える必要性に迫られます。彼はこの危機を通じて,精神分析の射程を神経症から統合失調症,パラノイア,メランコリーへ広げ,さらに器質的精神障害,心気症,性倒錯までを視野に収めようとしました。そのうえ彼は気づかぬうちに,対象関係論を芽吹かせたのです。 【参考図書】 ・Freud, S.(1911/2010):ナルシシズムの導入にむけて.岩波書店 ・Freud, S.(1917/2018):喪とメランコリー.講談社学術文庫 |
第6回『メタサイコロジー論「無意識」から「自我とエス」へ』池田 暁史 先生 |
メタサイコロジー論とは、1915年の「欲動と欲動の運命」から1917年の「喪とメランコリ―」までの(現存するものとしては)5本の論考を指す。ここでフロイトは、人の心的構造とその機能を一般的に概念化することを目指した。それは同時に第一局所論(無意識・前意識・意識)から第二局所論(構造論:エス・自我・超自我)に至るフロイトの思索の道筋でもある。難解で知られるこれらの諸概念を少しでもアプローチャブルに語ってみたい。 【参考図書】 ・フロイト (2018):メタサイコロジー論.(十川幸司訳)講談社学術文庫 ・キノドス(2013):フロイトを読む.(福本修監訳)岩崎学術出版社 |
第7回『症例を通しての理論展開「ねずみ男」「シュレーバー」「狼男」』清野 百合 先生 |
Freud, S.の精神分析理論は、常に臨床素材を吟味することを通して発展してきました。本講義では彼の代表的な臨床論文である「ねずみ男」「シュレーバー症例」「狼男」を紹介し、彼がどのようにそれぞれの症例を理解したのか、そしてその理解を踏まえてどのように理論を展開していったのかを、紐解いていきたいと思います。 【参考図書】 ・キノドス(2004):フロイトを読む.(2013, 福本修監訳), 岩崎学術出版社 ・フロイト, S(1909):強迫神経症の一例についての見解 ・フロイト, S(1911):自伝的に叙述されたパラノイアの一症例に関する精神分析的考察 ・フロイト, S(1918):ある幼児期神経症の病歴より |
第8回『セクシュアリティ論の展開 エディプスから「不気味なもの」「マゾヒズムの経済論」などへ』十川 幸司 先生 |
フロイト理論の根幹には常にセクシュアリティの問いがある。それは初期の『性理論三篇』から後期の「マゾヒズムの経済論的問題」まで一貫している。しかし、後期へと向かう過程でフロイトのセクシュアリティ論は生との関連ではなく、死と深く結びついたものとして把握されるようになる。この変化は理論レベルにとどまらず、彼の実践にも影響を及ぼしている。この講義ではフロイトのセクシュリティを巡る思考の展開について論じる。 【参考図書】 ・フロイト(1996):自我論集.ちくま学芸文庫 ・フロイト(1997):エロス論集.ちくま学芸文庫 ・十川幸司(2019):フロイディアン・ステップ.みすず書房 |
第9回『晩年の理論:「否定」「自我の分裂」など』横井 公一 先生 |
晩年のフロイトは、上顎癌の悪化やナチスドイツの侵攻、そしてロンドンへの亡命と迫り来る死の予感のなかで、これまでの精神分析理論では解決のつかなかった問題に取り組み、あるものは解決の糸口を見出し、またあるものは行き詰まりのうちに断念せざるを得なかった。本講義では、フロイトの精神分析の限界点を示すとともに、フロイト以降の精神分析の道を開くことともなったこれらの論文の意義について考えてみたい。 【参考図書】 ・フロイトの晩年の論文:「否定(1925)」「終わりある分析と終わりなき分析(1937)」「分析技法における構成の仕事(1937)」「防衛過程における自我の分裂(1938)」など |
第10回『フロイトの技法論』高野 晶 先生 |
フロイトの技法論に関しては、ストレイチーがまとめた6編が知られている。そのうち、「精神分析を実践する医師への勧め」に始まる4編の「勧め」シリーズは、具体的な方法にも言及したものとして、私たちはしばしば参照する。一方、100年以上後の世界を生きる私たちは、その後の理論の変遷を知り、また、フロイトが実践した形とは異なる精神分析的精神療法を概ね行っている。私たちのいまの臨床実践に生きる技法のルーツを辿り、その継承や変容の意味を考えてみよう。 【参考図書】 ・フロイト(2014):フロイト技法論集.(藤山直樹編・監訳)岩崎学術出版社 ・北山修・髙野晶編著(2017):週1回サイコセラピー序説〜精神分析からの贈り物.創元社 ・髙野晶・山崎孝明編著(2024):週1回精神分析的サイコセラピー〜実践から考える.遠見書房 |
池田 暁史 先生 | 大正大学 |
北村 隆人 先生 | 東洞院心理療法オフィス/太子道診療所精神神経科 |
清野 百合 先生 | 勝田クリニック/さくら精神分析研究室 |
高野 晶 先生 | 北参道こころの診療所 |
館 直彦 先生 | たちメンタルクリニック |
十川 幸司 先生 | 十川精神分析オフィス |
平井 正三 先生 | 御池心理療法センター・NPO法人子どもの心理療法支援会 |
増尾 徳行 先生 | ひょうごこころの医療センター |
松木 邦裕 先生 | 日本精神分析協会/個人分析オフィス |
横井 公一 先生 | 微風会 浜寺病院 |
日 程 | |
1 | 2025年9月28日 |
2 | 10月26日 |
3 | 11月23日 |
4 | 2026年2月1日 |
5 | 2月22日 |
6 | 3月22日 |
7 | 4月19日 |
8 | 5月24日 |
9 | 6月28日 |
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